ピレリスーパー耐久シリーズ2019第6戦(最終戦)は、11月9〜10日に岡山国際サーキットにおいて3時間レースとして開催。前回スキップした第5戦ツインリンクもてぎで今年のタイトル獲得を決めている#1 GTNET GT3 GT-Rは、フロントローからスタートするも60kgのハンディウェイト搭載もあり一時は5位まで順位を落としたが、堅実に周回を重ねて3位表彰台を獲得。チャンピオンらしく今シーズン最後のレースを締めくくった。
7月20〜21日にオートポリスで開催された第4戦で今季3勝目を挙げ、タイトル争いに王手を掛けたディフェンディングチャンピオンは、8月22〜25日に鈴鹿サーキット(三重県)で開催された「鈴鹿10時間レース(SUZUKA 10H)」に参戦。S耐クラスで3位に入賞し、S耐シリーズポイント10点を加算した。9月14〜15日の第5戦ツインリンクもてぎは欠場したが、タイトルを争っていたチームの脱落により2年連続S耐のタイトルを獲得した。
今回の最終戦は60kgのハンディウェイトを搭載してのレースとなったが、連覇を決めた王者らしく最低でも3位表彰台獲得を目標に臨んだ。しかしコース中盤以降タイトなコーナーが連続する岡山では、60kgのウェイトもありコーナーからの立ち上がり加速が鈍り、タイヤやブレーキへの負担が増えるなど苦戦が予想された。
今回のエントリー台数は全8クラスで計59台。車両はGroup 1(ST-X、Z、TCR、1〜3クラス)33台とGroup 2(ST-4、5クラス)26台に区分され、Group 2は10日午前、Group 1は10日午後にそれぞれ3時間レースを行うこととなった。ST-Xクラスは4車種計5台がエントリーした。
◆公式予選
この週末は朝晩こそ冷えるものの昼間は小春日和となった。9日の公式予選はA、Bドライバーのベストタイム合算でグリッドが決まる。まずジェントルマンドライバーによるAドライバー予選では浜野がコースインし、1分30秒623で2位につけた。Bドライバー予選では星野が1分29秒969で3位となり、両ドライバーの合算タイムで2位となり、フロントローを確保した。Cドライバー予選では藤波がセッティングを確認しながら1分31秒631で3位につけた。
◆決勝レース
Group 1の3時間決勝レースは、穏やかな天候に恵まれた10日の13時30分にフォーメーションラップが始まり、13時33分にグリーンランプが点灯。スタートを担当したのは浜野で、まずポールシッターの#777アストンマーティン・バンテージがスタート直後から逃げの態勢に入る。浜野はそのペースに合わせることなく、60kgのウェイトとタイヤの摩耗を考えて自分のペースをキープして周回。さらにコース上に出ていたオイルに注意を払いながらの走行もあり、5周目には5位スタートの#9 GT-Rにかわされたが3位を守る走りを続けた。
浜野は26周目にピットインして星野に交代。順位キープのまま星野がコースへ出て行った。星野は、浜野から藤波につなぐ重要な中間スティントを担当。周囲のライバルたちの動きに注意を払いながらも、ペースを守ってドライブを続けた。そして暫定トップを走行していた#9 GT-Rが47周目に最初のピットインをすると2位へ浮上した。直後に1台の車両がコース上で動けなくなったこともありFCY(フルコースイエロー)となり、セーフティカー(SC)が導入。トップの#777アストンマーティンとは15秒の差があった。その#777アストンマーティンが64周目に2回目のピットインを行うと、星野は暫定トップに立ち67周目に2度目のピットインを行い藤波に交代した。
最後のスティントを担当した藤波は5位でコースへ。暫定トップの#9 GT-Rはまだ規定のピットストップ1回を残しており、2位の#244レクサスRC Fも給油のためのピット作業が必要だった。3位走行中の#777アストンマーティンが実質的なトップで、4位走行中で実質2位の#112メルセデスSLSと藤波の差は4秒ほど。しかし#112メルセデスはハンディウェイトが40kgと#1 GT-Rより20kg軽量でラップタイムがわずかに速く、藤波もなかなか差を縮めることができず逆にギャップは少しずつ開いていった。
終盤の86周目にトップの#9 GT-Rが最後のピットイン。#244 RC Fは96周目に給油のためにピットインをし、これで藤波は3位に浮上。その順位を守って111周でチェッカー。2年連続のチャンピオンらしく、苦しい最終戦でも表彰台をもぎ取った。
◆尾本直史監督
「重いウェイトを積んで苦しいレースでした。レース前から優勝という文字は見えませんでしたが、表彰台には上ろうという目標で3位表彰台。結果は3位でしたが、レース内容には満足しています。浜野さんが序盤良いペースで走ってくれましたし、チャンピオンらしいレース展開になったと思います。今年は新型マシンが参加してきたので、チャンピオンを獲ることは厳しいと思っていましたが、第2戦から第4戦と3連勝、特に(第3戦の)富士24時間の優勝は大きかったです。それと真夏の鈴鹿10時間も経験し、いろんなことがプラスになった一年でした。応援ありがとうございました」
◆浜野彰彦
「スタートは緊張しませんでした。トップとは30秒ほどの差で次につなぎたいと思って走りました。ただ序盤にオイルが大量に出ている所があって慎重に行ったので9号車には抜かれましたが、何とか見える位置まで追いついたのは良かったです。今回は予選を含めて今年の集大成のようなレースでした。1年フルに出て少しは成長したのかなとは思いますが、今日はまだ足りない部分が見えました。来年どうなるかは分かりませんが、もっとスキルアップしていかないといけないでしょうし、レースの楽しさと奥の深さを求めて頑張りたいと思います」
◆星野一樹
「途中順位を落としましたが、3位になるのは分かっていました。(2位の)112号車にはウェイトの差もあってついていけなかったですね。ピット作業ではちょっとだけミスがありましたが、順位には関係ないものだったしチャンピオンらしくセオリー通りに走って良いレースができたと思います。うまくやれれば2位、最低限でも3位。4位にはならず強さを象徴するような走りができました。チームも良いクルマを作ってくれましたし良い週末でした。来年のことはまだ何も決まっていませんが3連覇したい。この3人でこのチームでできたら最高でしょうね」
◆藤波清斗
「(クルマが)単純に重かった。頑張って走りましたが、2位の112号車が軽い分アベレージ(平均ラップタイム)が速くて追いつけず悔しいです。でもチャンピオンを獲れたし、表彰台に乗れました。チームが良いクルマを作って準備してくれましたし、一樹さんの指導もすごくためになったし、浜野さんも今年はアベレージが0.5秒上がりました。パーフェクトなチームで走らせてもらい2連覇、そして24時間も連覇と実績を作ることができました。僕は単に走るだけでしたし、本当に感謝しています。今年もたくさんの方に応援してもらいましたし、来年もその期待に応えたいです」