🚗 プロローグ:それは“GT-R”ではなく、“R35”という新しい物語
2007年。
スカイラインの名を捨て、新たに「NISSAN GT-R」として登場したR35は、 日産の技術と哲学のすべてを注ぎ込んだ、まったく新しい“スーパースポーツ”だった。
その正体は、過去のGT-R像を一新する“電子制御の怪物”。 だがそれでも、GT-Rの魂=「速く、そして勝つ」ことは変わらなかった。
この記事では、30〜50代のクルマ好きに刺さる“熱さ”と“ロマン”を込めて、 GT-R R35がモータースポーツの現場でどのように評価され、何を証明してきたかを、 トリビアや逸話とともにお届けする。
🏁 スーパーGT(GT500クラス)──R35伝説の本拠地
2008年、R35 GT-RはJGTC改め「SUPER GT」のGT500クラスに参戦。
✔ これまでのスカイラインGT-Rに代わって、“NISSAN GT-R”名義でエントリー ✔ カーボンモノコック、専用レースエンジン(VK45DE/VRH34Aなど)搭載 ✔ NISMO、TEAM IMPULなどがR35をベースに参戦
🧠 トリビア①:デビューイヤーにいきなり王座奪取
2008年シーズン、XANAVI NISMO GT-R(松田次生/ブノワ・トレルイエ)が ドライバーズ/チーム両タイトルを獲得。
✔ 新レギュレーション車両として初の快挙 ✔ 伝統のスープラ、NSX、SC430を圧倒するパフォーマンス
「R35は、最初から“王者”として生まれてきた」
⚔️ ライバルとの死闘──トヨタ、ホンダとの新時代戦争
2009年以降も、GT-RはスーパーGTの頂上争いを牽引。
✔ 2011年:S Road MOLA GT-Rがドライバーズ&チームタイトル連覇 ✔ 2014年:MOTUL AUTECH GT-Rが再び王座へ ✔ 2015年:GT-R 3台がランキングTOP5入りという“支配”状態
🧠 トリビア②:“BoP”との戦い
R35のあまりの強さにより、「BoP(性能調整)」が頻繁に入るようになる。 重量増・リストリクター制限・燃料流量制御など。
それでもGT-Rは“進化”で対抗。
「制限されても速い。だからGT-Rは憎まれ、そして尊敬された」
🌍 ニュルブルクリンク24時間耐久──GT-Rの本気
R35は“世界一過酷”と呼ばれるニュル24時間耐久にも挑んだ。
✔ ファルケンタイヤ、ニスモ、GTNETなどが参戦 ✔ V6ツインターボVR38DETTをベースに耐久仕様へチューン ✔ クラス優勝、完走多数
🧠 トリビア③:「公道仕様に近い」GT-Rが24時間を走破
GT3マシンではなく、“あくまで量産型ベース”で戦ったR35。 タイヤ、冷却系、燃費制御を磨き上げ、市販車の実力を証明した。
✔ 車両重量1.6t超でもクラスリーダー ✔ ドイツメディアも「日本製の耐久マシンは恐ろしく高性能」と評価
「GT-Rは、“壊れない速さ”を証明した」
🏎️ FIA GT1 世界選手権──世界最高峰カテゴリーへの挑戦
2010〜2011年、NISMOはGT-RでFIA GT1世界選手権に参戦。
✔ 専用シャシー+VR38DETTベースのGT1車両 ✔ スイスのチーム「Swiss Racing Team」、イギリスの「JR Motorsport」などが参戦 ✔ 世界各地(アブダビ、ザントフォールト、シルバーストーン等)を転戦
🧠 トリビア④:「日産がル・マンじゃなくGT1を選んだ理由」
GT1は“純粋なパフォーマンス競争”の場。 高額なル・マン参戦より、純戦闘力で評価されるGT1での勝負にR35が選ばれた。
✔ フォードGT、アストンマーチンDBR9など強敵揃い ✔ GT-Rは“堅牢性と加速力”で対抗
「GT-Rは、世界最高峰GTレースでも通用する“戦闘兵器”だった」
🛞 GT3仕様と“世界中のサーキットで戦うR35”たち
R35 GT-Rは、GT3仕様としても世界各地のレースに投入されている。
✔ スパ24時間(ベルギー) ✔ ブランパンGTシリーズ(欧州) ✔ バサースト12時間(豪州) ✔ スーパー耐久(日本) ✔ Pirelli World Challenge(北米)
🧠 トリビア⑤:GT3車両は“完全ワークス”ではない
GT3 GT-Rは「NISMO製カスタマー向けレーシングカー」として、 複数のプライベーターに供給され、多くの勝利を記録。
✔ ドライバーやメカニックの育成にも寄与 ✔ 「GT-Rが世界中で“勝利の教材”になっている」
「R35は、“速さを広める伝道師”でもあった」
⚙️ 電子制御との戦い:技術がレギュレーションに試された時代
R35が登場した2007年以降、レース界も大きく変化。
✔ ABS、トラクションコントロール、ローンチ制御などの採用可否 ✔ ECUセッティング自由度、ギア比制限、重量配分義務
GT-Rは「高度な電子制御ありきの速さ」がゆえに、 「機械vsレギュレーション」という戦いを強いられた。
🧠 トリビア⑥:「人間が勝てないから、制限する」?
一部のレースファンやメディアは「GT-Rは“ズルい速さ”」と批判。 しかしその背景には、「圧倒的に勝ってしまう技術への嫉妬」があった。
「制限されても、GT-Rは“知恵”で勝った」
🧠 海外レビューと印象的な勝利
- 『Top Gear』:GT-R is not a car. It’s a missile.
- 『Motorsport.com』:Reliable, relentless, race-ready.
- 『AutoSport Japan』:技術でねじ伏せる“静かな破壊者”
✔ 2015年:バサースト12時間で総合優勝 ✔ 2018年:ブランパンGTシリーズで表彰台連発 ✔ 2020年:GTワールドチャレンジで表彰台フィニッシュ
「R35は、“静かに暴れる”レースカーだった」
🏁 エピローグ:それは、“常勝”ではなく“常進”だった
日産 GT-R R35。
それは、単にレースで勝つための車ではなかった。 それは、“何度制限されても、前に進む”ための車だった。
✔ 勝ちすぎて規制される ✔ 規制されても勝つ ✔ 勝ちだけでなく、耐える強さも持っていた
「R35は、時代の中で“最適解”を出し続けた」
技術、精神、耐久力——そのすべてを備えた“電子の怪物”。 そして今日も、どこかのサーキットでその咆哮が轟いている。
R35は、進化しながら“勝ち続けた”クルマだった。
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