🚗 プロローグ:「無冠」から「神話」へ
1989年。 バブル景気のただ中、日本が世界に誇るべくして誕生した“現代GT-Rの原点”。 それが、スカイラインGT-R R32。
当初は国内専用モデルとして設計されたが、やがてその異常なまでの性能が海を渡り、 世界中のメディアやファンがこの車に独自の“呼び名”を与えるようになった。
今回は、30〜50代のクルマ好きが胸を熱くするような、 R32 GT-Rに付けられた“海外のあだ名”とその背景を、トリビアや逸話とともに深堀りする。
🇦🇺 オーストラリア:「Godzilla(ゴジラ)」
最も有名で、最も広まった異名。
✔ 由来は1990年代初頭、豪『Wheels』誌が付けた見出し「Godzilla — the monster from Japan」 ✔ オーストラリアツーリングカー選手権(ATCC)でR32が大暴れしたのがきっかけ ✔ Ford SierraやHolden Commodoreをねじ伏せる姿に畏怖
🧠 トリビア①:「Godzilla」は誉め言葉ではなかった?
当時の現地メディアは“Too Good(強すぎる)”とネガティブに捉え、 あえて日本の怪獣を引き合いに出したとされる。
「Godzilla=規格外。もはやフェアな土俵じゃなかった」
🇺🇸 アメリカ:「Forbidden Fruit(禁断の果実)」
アメリカではR32は“輸入禁止”対象だった。
✔ 衝突基準や排ガス規制をクリアしておらず、販売されなかった ✔ それが逆に“都市伝説化”を促進 ✔ YouTubeやゲームで知った若者が憧れを募らせる存在に
🧠 トリビア②:「MotoRex事件」と25年ルール
2000年代前半、アメリカの「MotoRex」がR32〜34を違法輸入・登録。 これがのちに摘発されるも、「合法R32の夢」を残した。 現在は25年ルールにより正規輸入が可能。
「見たことがないから、余計に惹かれる。それが“禁断の果実”」
🇬🇧 イギリス:「Sky God(空の神)」
イギリスでは「Skyline」+「God=神格化」で「Sky God」と呼ばれることも。
✔ 英国の走り屋・ドリフトカルチャーで絶大な人気 ✔ RWDベース+4WDのATTESAが英国の雨天路面にマッチ ✔ インポーターを通じて独自のチューニング文化が育った
🧠 トリビア③:「グッドウッドでの咆哮」に鳥肌
グッドウッド・フェスティバル・オブ・スピードに登場した際の R32のターボ音とスライド走行が話題を呼び、英国内で再注目された。
「空を裂く咆哮。それが“Sky God”の意味だった」
🇩🇪 ドイツ:「Neo Klassiker(新クラシック)」
メルセデスやBMW文化の本場ドイツでも、R32は“ネオ・クラシック”として高評価。
✔ 1990年代のテクノロジーでありながら、“今も通用する速さ” ✔ シンプルな設計思想、機械的フィールが“本物”として扱われる ✔ ニュルブルクリンクでの安定性も人気の理由
🧠 トリビア④:「電子より“人馬一体”」がウケた
R32は電子制御は最小限で、ドライバーのスキルを引き出す設計。 これがドイツの“職人魂”とシンクロ。
「速いことより、“操る歓び”がドイツ人を虜にした」
🇮🇹 イタリア:「Il Fantasma (幽霊)」
イタリアではR32を「Il Fantasma(イル・ファンタズマ)=幽霊」と表現。
✔ フェラーリやランボルギーニ文化に属さない“異物” ✔ 誰もいないのにミラーに映ったと思ったら、すでに消えている——そんな速さ ✔ サーキットや峠で見た者だけが“目撃者”になれる
🧠 トリビア⑤:「沈黙の速さ」が幻想的だった
RB26のターボは大きな音ではなく“鋭さ”で勝負。 この無音に近い滑らかさが「ファンタズマ(幽霊)」の由来。
「姿を見せぬまま、すべてを置き去りにする車」
🌐 ゲーム・映画・SNS──現代の“異名メーカー”
R32の異名は今も増え続けている。
✔ 『グランツーリスモ』シリーズでの“伝説マシン” ✔ SNS上では“G Monster(Gの怪物)”や“Torque Ninja(トルクの忍者)”なども出現 ✔ TikTokやYouTube Shortsで海外の若年層が再評価中
🧠 トリビア⑥:呼び名は“文化の投影”
それぞれの呼称は、その国がR32に何を見たかの証拠。
- 日本:型式信仰(BNR32)
- オーストラリア:破壊の象徴
- アメリカ:手に入らない神話
- イギリス:操る楽しさ
- ドイツ:理想の機械
- イタリア:幻想の存在
「呼び名は、愛のかたち」
🏁 エピローグ:R32は、“呼ばれ方”そのものが伝説
スカイラインGT-R R32。
それは、“速さ”だけでなく、“物語”を生んだ存在だった。
✔ 見た目の派手さはない ✔ だが異常に速く、異常に正確 ✔ 海外では“理解できないまま、惚れてしまった”という感覚すらあった
「R32は、名前より先に“あだ名”が世界を駆けた」
その名を呼ぶたびに、各地で伝説が蘇る。 それはもう、ただのクルマではなかった。
💡関連動画💡



