はじめに
R32の圧倒的な強さを引き継いだはずのR33スカイラインGT-R。しかし登場直後から海外では、その存在を皮肉交じりに「Fat Godzilla(太ったゴジラ)」と呼ばれることになります。誇張でも侮辱でもなく、そこにはR32の伝説との比較や、文化的背景、そして愛憎入り混じるファン心理が反映されていました。
この記事では海外Wikipediaをベースに、R33が世界でどのような呼び名を得て、なぜそう呼ばれるようになったのかを、30〜50代のクルマ好きの心を熱くするトリビアや逸話とともに解き明かします。
1. 「Godzilla」から「Fat Godzilla」へ
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1989年のR32がオーストラリアで圧勝し「Godzilla」の名を得た。
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1995年にR33が登場すると、サイズアップと重量増加が議論の的に。
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豪メディア『Wheels』誌は「Godzillaが進化したが、やや太ってしまった」と評した。
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この表現が「Fat Godzilla」としてファンの間に定着した。
エピソード:現地観客が「太った怪物がまたやって来た」とジョークを飛ばしたことが記事になり、そのまま流行語化。
2. 「ジャパニーズ・タンク」
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ドイツや欧州の一部評論家は、R33の大柄なボディと安定性から「Japanese Tank(日本の戦車)」と呼んだ。
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マイナスな意味だけでなく、耐久性と直進安定性へのリスペクトも含まれていた。
トリビア:ニュルブルクリンク24時間での安定走行が、この異名を後押しした。
3. 英国での「GT-R」神話
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英国メディアは依然としてR33を「Godzilla」と呼び続けたが、同時に「The Gentleman’s Godzilla(紳士のゴジラ)」と形容。
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これはR32の荒々しさに比べ、R33が洗練され乗りやすくなったことを指していた。
引用:英『Evo』誌は「R33は過小評価されている。重さを除けば最もバランスの取れたGT-R」と記録。
4. 北米での「禁断の果実」継続
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1990年代の米国は輸入規制により、R33も正規導入されなかった。
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ファンからは引き続き「Forbidden Fruit(禁断の果実)」と呼ばれ、憧れと神秘性を高める要因となった。
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インターネット黎明期の掲示板で「Fat Godzilla」の話題が加速し、ミームとして拡散した。
5. ファンとオーナーの受け止め方
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ファンの中には「太った」と揶揄されつつも「安定性が高く高速巡航に強い」と擁護する声が多かった。
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オーストラリアのオーナーはインタビューで「バサーストの長い直線では、R32より安心して踏み切れる」とコメント。
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ニックネームは批判であると同時に、実用的な特性を逆説的に評価した言葉でもあった。
6. 愛称が生んだカルチャー
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「Fat Godzilla」はやがて親しみを込めた愛称として使われ、オーナーズクラブのステッカーにも登場。
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一部チューナーは「痩せたゴジラ」=軽量化チューンをアピールする広告を打ち、呼び名を逆手に取った。
まとめ
R33 GT-Rが海外で「Fat Godzilla」と呼ばれた背景には、R32の伝説との比較、重量増加への揶揄、そして文化的ユーモアが絡み合っています。
しかし同時に「Japanese Tank」「Gentleman’s Godzilla」といった呼称が示す通り、R33は信頼性と安定性を評価されていたのも事実です。
30〜50代のクルマ好きにとって、この呼び名の数々は、あの時代に世界中で議論を巻き起こした“怪物”の姿を思い出させるのです。
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