常識を捨てるという決断──GT-R R35が“別物”として生まれ変わるまでの開発秘話

GTNET

■はじめに:R35は「後継」ではなかった

日産 GT-R R35は、
それまでのスカイラインGT-Rの延長線上にある存在ではない。

むしろR35は、
過去を継ぐことを一度すべて断ち切ったプロジェクト だった。

開発初期から日産内部では、
「名前を残すか、思想を残すか」という議論が繰り返されていたという。

その答えは明確だった。
思想を残すために、形を変える。


■“世界一速い量産車”という無謀な目標

R35開発時に掲げられた目標は、あまりにも率直だった。

  • 世界中どこでも速い

  • プロでなくても速さを引き出せる

  • 価格と性能のバランスで既存のスーパーカーを超える

この時点で、従来のGT-Rの延長では成立しないことは明らかだった。

FRレイアウト、RB系エンジン、スカイラインの名。
それらはすべて「選択肢」から外されていく。


■VR38DETT誕生──職人制という逆行

R35の心臓部であるVR38DETTは、
当時としては異例の「匠組立方式」を採用した。

量産効率を犠牲にしてでも、
一基一基を熟練工が手作業で仕上げる。

これは単なる品質管理ではない。
高出力を日常で成立させるための必然 だった。

海外メディアはこの点を
“Hand-built engine in a mass-produced car”
と評している。


■トランスアクスルという大きな賭け

R35最大の構造的挑戦が、
エンジン前置き+ミッション後方配置のトランスアクスル方式だ。

これにより、

  • 前後重量配分の最適化

  • 高出力時のトラクション確保

  • 安定した高速域の挙動

を同時に実現する狙いがあった。

この構成は設計・製造ともに難易度が高く、
「量産車でやるべきではない」とも言われた。

それでも日産は引かなかった。


■電子制御は“運転を奪うため”ではなかった

R35は数多くの電子制御を搭載する。
だが開発陣の思想は一貫している。

速さを預けるのではなく、
速さを安定させる。

R35は、ドライバーの技量差を消すためではなく、
速さの再現性を高めるための制御 を選んだ。

この点が、誤解されやすくもあり、
同時に高く評価される理由でもある。


■ニュルブルクリンクが開発拠点になった理由

R35は日本国内だけで完成しなかった。

開発の最終段階では、
ニュルブルクリンクが事実上の主戦場となる。

理由は単純だ。
あらゆる路面、速度域、負荷条件を一度に試せる場所が他にない。

R35はここで
「速さ」だけでなく
壊れない速さ を作り込まれた。


■海外での受け止め方──“価値観の破壊者”

R35が登場したとき、海外メディアの反応は極端だった。

  • “Unfairly fast”

  • “It rewrote the rulebook”

価格、排気量、ブランドイメージ。
それらを基準にしていた評価軸が、一気に崩れた。

R35は、
速さの基準そのものを再定義した存在 として受け止められた。


■まとめ:R35は、孤独な決断の集合体

R35は、
伝統を守るために伝統を捨てた。

多くの反発を受け、
多くの誤解も受けた。

それでも結果として、
世界中で性能が語られ続けている。

R35の開発秘話とは、
一台のクルマではなく、決断の積み重ねの物語 なのだ。


■よくある疑問(FAQ)

Q1. なぜR35はスカイラインの名を外したのですか?
A. 新しい構造と思想を成立させるため、既存の枠組みから自由になる必要があったためです。

Q2. 電子制御が多いのは運転が簡単だから?
A. いいえ。高性能を安定して再現するための制御であり、操作感を消す目的ではありません。

Q3. R35は従来のGT-Rと別物なのですか?
A. 構造は別物ですが、「速さを誰にでも届ける」という思想は一貫しています。

Q4. 海外評価が特に高い理由は?
A. 性能と価格のバランスが、従来の常識を完全に超えていたためです。


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